第9章 終結
同時刻。
希灯とカムクラのことがやはり気に掛かった一同は、揃って希灯のコテージの前まで来ていた。
「さすがに心配しすぎじゃね? 普通に交渉しに行っただけかもだし……」
「たしかに初手で殺しに行くなんて、現実的じゃないよね」
「何なら……逆にお邪魔だったりして」
周囲の異様な雰囲気に、苦笑いしながら数人が言う。
「おい、鍵掛かってるぞ……!」
「インターホン押してみるっスかねぇ」
「てか、やけに静かじゃねーか? 話し声とかも聴こえねーし」
中の様子は確認できず、物音もしない。
「誉稀ちゃん、大丈夫……!?」
「返事しろ希灯!! カムクラもそこに居るんだろ!?」
返事はなかった。
大声で呼び掛けている一同の後ろで、ウサミだけが愕然とした表情で目に涙を浮かべて震えている。
「どけ!俺が行ってやる!」
痺れを切らした終里が一同を押し退け、鍵ごとドアを蹴破ってコテージを開いた。
「……!」
そこには青ざめた顔でぐったりとしている希灯と、それをただ静かに抱き締めるカムクラの姿があった。
「嘘、だろ……」
「ちょっと、アンタ……誉稀ちゃんに何してんの……?」
「そんな……まさか」
目の前の光景に戸惑う。
命を奪っている様子にしてはあまりにも静謐なものに見えた。
何が起こっているのか、理解が追い付かない。
ただ、力なく床に向かって揺れている希灯の腕が現場の異常性を物語っている。
「…………」
カムクラは空間に入り込んできた日向達のことなど意に介さず、希灯を抱擁したまま静止を続けていた。
依然としてその指は頸動脈を圧している。
やがて希灯の手からポトリとステッキが零れ落ち、それが光を放ってこの島の何もかもを呑み込んだ。
動かない2人も、狼狽する生徒達も、海も空も建物も。
何もかもが虹色の光に包まれて、全て消え失せた。