第9章 終結
砂浜から希灯が去って5分ほど後、一同はようやくその場から動けるようになった。
「なんだアイツ、やっと帰れるってときに何してくれてんだよ!」
左右田が涙目で脚をさすりながら文句を言う。
「ウサミ、本当にあのステッキがないと俺達は外に出られないのか?」
「残念ながら……そうなんでちゅ。で、でも心配はいりまちぇん。先生がきっと希灯さんを説得して、何とかしてみまちゅから……!」
「説得って言ったって……また動けなくされて終わりなんじゃない?」
不安げに言葉を交わす生徒達の横を、カムクラが静かに通り過ぎていく。
その足は砂浜の出口へ向かっていた。
「あっ……カムクラ、ホテルに戻るのか?」
「勝手にどっか行かないでよ。誉稀ちゃんの件、今後どうするべきか一緒に話し合うべきでしょ」
「希灯さんに考え直してもらえるよう、共に解決の道を探しましょう」
呼び止められたカムクラは、一同に少し振り返る。
「……話し合う必要はありません。すぐに終わりますから」
そう言って、また歩き出した。
「お、終わる……? ねぇ、それってまさか……」
「お前さん、さっきの希灯の言葉を本気にしとるんか!?」
「説得しに行くんだよな?そうだよなっ……??」
ホテルの方角へ一直線に進んでいくカムクラを追いかけ、数名で纏わりつくように呼びかける。
それに対し、カムクラは振り返ることも足を止めることもしなかった。
「……あなたたちはこの島にずっと居続けたいですか?」
「そ……それは……」
カムクラの問いかけに、皆一様に口ごもる。
だからと言って希灯に手を出すのは間違っている。
そう返すこともできるはずだったが、その場の全員がただそこでカムクラの背を見送ることしかできなかった。