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【刀剣乱舞】顔が好き【R18/BL】

第3章 桜の木の下


「とにかく、移動するぞ。本丸は……まあ、見りゃ分かる」
 歩き出す背中を追う。

 迷いがない足取りだったが、時折こちらを気にするように、わずかに足を緩める。

 一本の桜の木が咲き誇る屋敷の入り口で、彼は立ち止まった。

「……ここが、あんたの本丸になる場所だよ」
 満開の桜が、風もないのに揺れている。
美しいのに、どこか息苦しい。

「……綺麗ですね」
 思わず感嘆の声を漏らすと、肥前は鼻で笑った。

「見た目に騙されんな。こういうのは、大抵ロクなもんじゃねぇ」
 桜を眺めている横顔を見て、また思ってしまう。

(……やっぱり、顔、好きだな)

 いやいや、こんな状況で、何考えてるんだ俺は。
 ふと、肥前が俺の方を振り返る。

「……さっきから、やけに俺の顔見てんな」
 やばい、バレた。心臓が飛び上がりそう。

「え!?いや、その、刀剣男士って皆さんお顔が整ってるなぁって!」
 自棄になって半分くらい本心を暴露すると、肥前は一瞬黙った。

「……」
 数秒の沈黙。
そして、小さく息を吐く。

「……くだらねぇ」
 そう言いながら、視線を逸らす。
 だが、その声は、最初より少しだけ柔らかくなった気がした。

 胸の奥がざわめく。

 「早く屋敷に入るぞ」と肥前に急かされ、桜の下で並んで歩くと、影が少し重なった。
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