第3章 桜の木の下
監視役。
その単語がすとんと理解できるまで、ほんの一拍遅れた。ハナから政府にも、目の前の彼にも信用されてないってことか。
「……あー、なるほど」
つい、いつもの癖で笑ってしまう。
「肥前さん、よろしくお願いします。えっと……名前は言う訳にはいかないな……あの、とにかく今日から審神者を務めさせていただくものです」
冗談めかして俺は言った。
そんな俺の様子を見て、少し考えて肥前が呆れたように言う。
「………事件を起こして、左遷。反省もなし、と。まあ、ヘラヘラしてるってのは報告通りだな」
うーん、手厳しい。
「すみません、笑っちゃうのは癖みたいなものでして」
否定するほどの気力もなかったのでそう返した。
肥前は相変わらず笑っている俺の顔をじっと見つめてくる。
(……見ないでほしいな)
そう思うのに、目を逸らせない。
目が合うだけで、ドッと全身が汗が吹き出す気がした。
「……本当に、緊張感ねぇな」
吐き捨てるように言われた。冷たい。
「言っとくが、おれは甘くねぇ。あんたがまた何かやらかすようなら、即報告する」
「それがお仕事ですもんね」
軽く受け流した。
「あと、おれの前でそういう態度取るのやめろ」
ぴしゃりと言われる。
「……は?」
思わず素で聞き返すと、肥前は舌打ちした。
「……だからその薄気味わりぃ作り笑いをやめろって言ってんだよ」
「え?いや、あの……」
どうやら彼には俺の笑顔は不評らしい。ここまで言われたのは初めてで動揺して言葉を返せなくなってしまう。
ひとつわかったこと、多分目の前の肥前に俺は嫌われた。
………まあ、悲しいけど、仕方ないか。ヘラヘラしてる俺が悪いもん。