第2章 顔だけの男
適当に笑っていたバチが当たったのかもしれない。顔が良いから、と今まで許されていた不条理の報いが来たのかもしれない。
俺は、突然、審神者になることになった。
元々は政府の役人だった訳だから、簡単に言えば“左遷”である。
ある日上司から言い渡されてしまったのだ。
『一週間後から、お前は本丸という異空間で一生を過ごすことになる。あの事件を起こした罰として』
あまり物事を深く考えない性格の俺でも、これにはだいぶ凹んだ。辞令と書かれた薄っぺらい紙を目の前に置いて、政府の単身寮である自室に一人で、酒を浴びるように飲んだ。
酔いまくっていた俺は、「審神者に任命する」というぼやける文字を眺めながら、とある事実に気付いた。
ご存知の通り、刀剣男士とは刀の付喪神が人間の姿をとったものである。
そして、刀剣男士はなぜか、全員、顔が良い。
そう、「顔が良い」。
つまり、つまりだ。本丸でなら、俺の『顔が良いから仕事もできるだろ』といういつものやつが起きないかもしれない。
だって、俺より顔が良いやつがゴロゴロいるんだもん。そうに決まってる。
俺は、椅子を立ち上がり天を仰いだ。
「神様、ありがとう!!!!俺、審神者になります!!!!!」
(立ち上がる時に手が当たって、ビール缶が倒れ、濡れた辞令の紙がしわっしわになったのは気にしないことにする)