第2章 顔だけの男
名前も知らない母親が異国の人だったらしく、平均的な日本人より彫りの深い整った顔に生まれた俺は、よく「綺麗な顔だ」と褒められた。
政府に勤める父は忙しい人だったが、母のいない俺のことをその分大切に育ててくれた。
顔がよかったので、友達に困ることもなく、女の子にもモテた。
でも、いつも、自分が何か欠けている気がしていた。
女の子に振られる時、なぜかいつも、「思ってたのと違った」と言われる。
友達だと思っていた男にも「あいつは顔だけだ」と影で言われる。
父の背中を追って入った政府でも、上司に「期待していたような人材じゃないな」と説教混じりにぶつけられる。
……分かっていた。自分が有能な人間じゃないことも。顔が良い分期待値が高いから、それを下回ってしまうことも。
いつからか、俺はヘラヘラと笑うことを覚えた。
ヘラヘラと笑えば、セックスが盛り上がらなくても許してもらえた。つまらない話しかできなくても許してもらえた。ミスをしても許してもらえた。