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【刀剣乱舞】顔が好き【R18/BL】

第7章 幽霊


「待って!」
 袖を掴まれて、思わず舌打ちが漏れる。

「……離せ」
 振り払おうとした腕は、思ったよりも簡単に振り切れなかった。あんなに細い体をして。

「…斬らないで」
 震えた声。
「お願いだから」
 ——なんだそれは。
 怒りよりも不快さが勝って、振り返る。

 目が合った。
……相変わらず、妙に整った顔だ。青白くて、弱々しくて、まるで汚れなど知らなさそうな。

「何を庇ってるんだよ」
 あぁ、この顔におれは弱い。

「庇ってるわけじゃない。ただ……あれは」
 審神者は言葉を止めた。

「……彼らは、きっと悪意を持ったものじゃないと思う。前に肥前が言ってたろ。残留思念、みたいなものじゃないかって」

 だから、なんなんだ。

「……甘ぇんだよ」
 そう、吐き捨てる。

「そんな暢気な性分だから、あんな事件やらかしたんじゃねーの?」
 あんたは、いつもそうだ。自分を削って、それで全部うまくいくと思ってやがる。

「……そうかもね」
 返ってきた声は、意外なほど静かだった。

「ごめん」
 続けて謝る声に苛立ちが深まる。あぁムカつく。審神者にも自分自身にも。
 
「でもさ、幽霊でも、残留思念でも……斬らないであげてほしい」

 あんたは…

「また同じことを繰り返す気か?」
「……え?」
「斬らないでほしいだぁ?悠長なこと言ってる場合か?」
 掴まれていた袖を振り払って、一歩、距離を詰める。

「その結果、誰かが折れて、誰かが死んで」
 報告書の内容が、脳裏を掠める。
「それでも、斬らない選択をするのかよ」
 

 忘れるな。目の前の審神者は、本丸ひとつを壊滅に追い込んだ男だ。
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