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【刀剣乱舞】顔が好き【R18/BL】

第7章 幽霊


「そうだよ」
 少しの沈黙の後、審神者は、あっさりと言い放った。


「……だから、君は俺を許さないで」
 彼は、笑った。


 口角を上げただけの、薄っぺらいその笑顔からは感情がまるで読めない。

 その笑顔が、どうしようもなく癪に障った。時たま、この男はこの世のすべてを受け入れたような顔をする。

「……勘違いするなよ」
 カッとなって叫び出したいのを懸命に堪える。


「今は……今は、斬らないことにするだけだ」
 審神者の目が、わずかに見開かれる。
 
「あんたのしたことを許すとか、許さないとかはおれが決めることじゃない。でも……」
 あぁ、息が詰まる。
 

「おれが何を斬るかは、おれ自身が決める、それだけだ」
 


 審神者は目を伏せた。扇形のまつ毛が影を落とす。

「そう……」
 彼は小さく息を吐いた。

「でも、ありがとう」

 ありふれた表現だけれど、その瞬間、花が咲いたようだった。

 そんな場面じゃないのに、ひどく心臓が早鐘を打つ。

 呆けてしまって、刀にかけていた手から力が抜ける。
 
 そんな肥前を一瞥して、ふふっと審神者は軽やかに笑うと、「顔を洗ってくる」と一人、部屋を辞した。


 時計を見ればもう、夜明けが近い。

 肥前はその場に立ち尽くして、しばらく動けなかった。
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