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【刀剣乱舞】顔が好き【R18/BL】

第6章 霊力補給※


 キスなんて慣れてる筈なのに、肥前とのキスは何故かいっぱいいっぱいになってしまう。

 そろそろいいかな、という頃合いでちょうど息も苦しくなるので、彼の胸をトントンと遠慮がちに叩く。

「……っ」
 肥前の動きが止まって、やがてゆっくりと唇が離れていく。

 つーと二人の間を銀の糸が引いているのをぼーっと眺める。

 深い緋色の瞳が細められて、じっと見つめられる。

 …勘違いしそうだからそんな熱のこもった目で見ないでほしい。

「……今日の分はおしまいだね、ありがと」
「ん、そうかよ…」
 そう、おしまいなのだ。体が軽くなって、少しふわふわとしながら俺は礼を伝えると、つっけんどんに彼は言った。


 気づけば、キスのあとに、そのまま他愛もない話をするようになっていた。

 お互いの政府時代の話とか。

 今日、本丸であったこととか。

 俺が笑うと、肥前が呆れたように静かに口角を上げる。それが、やけに嬉しい。


 この本丸が怖かった。

 元々来たくて来た場所じゃないし、なぜか霊力がなくなるし。夜は幽霊の声が聞こえるし、体調最悪だし。

 先のことなんて不安しかなかった。でもこの時間だけは少しだけそういうの全部忘れられる気がした。


 一日頑張ったご褒美みたいな、甘美な時間。

 夕食に先に向かう肥前を見送った後、唇に残る温度を毎晩、指でなぞってしまう自分は、もう手遅れなのかもしれない。ふと、そんなことを思った。
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