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【刀剣乱舞】顔が好き【R18/BL】

第5章 足りない※


 肥前が、こちらを見る。眉が、ピクリとわずかに動いた。

「我儘言ってる場合か?」
「……嫌なものは嫌だ」
 布団の上で、拳を握る。

 頭では分かっている。霊力がなくなったら人間は倒れる。きっと、生きるために必要な処置だ。
 
 それでも。

「……できないよ」

 肥前の顔から表情が消える。感情が読み取れない。

「……じゃあ、どうすんだよ」
 彼は淡々と続けた。

「このまま倒れ続ける気か?」
「……それでも」
 言いかけて、言葉が喉を通らなくなる。

 勇気が足りない俺は首を振る。

「……とにかく、嫌だ」
 それ以上、言えなかった。

 肥前は深く息を吐いた。

「……勝手にしろ」
 冷たくそう俺に言い残して彼はくるりと背を向ける。襖が、静かに閉まる。

 俺一人が部屋に取り残される。

(……肥前以外は嫌だ、なんて言えるわけないじゃん!!!!!)
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