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【刀剣乱舞】顔が好き【R18/BL】

第5章 足りない※


***
 肥前は審神者を近くの空き部屋の布団に下ろした。体の芯が冷え切っている。顔色も悪い。

 典型的な霊力切れの症状だ。
 
「…隠してたな」
 審神者は気を失ったままで、返事は返ってこない。

 しかしまあ、血色が悪くても全く恐ろしいくらい整った顔である。

 苦しそうに寄せられた眉。伏せられた長い睫毛が、頬に影を落としている。


「……これは応急処置だ」
 誰に言うでもなく呟く。

 そう、これからするのは、緊急の霊力の経口補給。

 そっと、慎重に顎に手を添える。
柔らかく冷たい、その感触に生きているか不安になるが、近付けば、微かに呼吸の音が聞こえた。

 顔を近付けて、唇に重ねる。

 触れるだけの口づけ。

 御伽噺のように、審神者がキスで目を開けることなんてなかった。


 少しカサついた唇のあわいを舌で割り込む。

「…っんぅ……」
 呼吸を奪われたのが苦しかったのか、意識のない審神者が声を漏らす。

 目を覚ましたのかと驚いて一旦唇を離してしまうが、起きた気配はない。

 喉は乾いているのに、自然と唾液が溢れる。
 
「…っふぅ、ッん……!」
 再び顔を近付け、軽く開いた唇の隙間から舌を滑り込ませる。なんとなく上顎をなぞってやると審神者は眉を寄せて反応した。

 そのまま、くちゅくちゅと霊力を乗せた唾液を送り込んでやると、白い喉仏がこくりと動いて嚥下したようだった。

「ん、ん゛ぅ…ぢゅぅ…ッふぅ、ぅぅ……」
「……ンッ……んん……」

 2人の静かな吐息と水音だけが部屋に響く。

 審神者の紙のような顔色が元に戻るまで、肥前はその作業を続けた。肌がじとりと汗ばんだ。
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