第11章 目覚めと目覚め
次の日の朝
カーテンの隙間から、朝日が差し込む
『う…ん?』
紅海は、ゆっくりと目覚めた
アルコールは、あれだけ飲んだのに相変わらず残っていない
昔から、そういう体質らしい
どれだけ飲んでも、翌朝には頭が澄んでいる
ぼんやりと天井を見つめる
あ〜、そろそろ筋トレとランニングの時間かな
あれ?目覚まし鳴ったっけ?
スマホ…どこだろ
寝ぼけ眼で、スマホを手探りで探す
見つからない
いつもの思考が、途中で止まる
…ん?あれ?
天井の照明の形が記憶と合わない
ここ、どこ?
昨日…酔っぱらって…どうしたっけ?
血の気がだんだん引いてくる
理解した瞬間、紅海は勢いよく跳ね起きた
反動でバランスを崩し、ベッドから落ちそうになる
「ぎゃ…!」
その時、部屋のドアが開いた
湯気をまとったまま、五条悟が現れる
上半身は裸、肩にタオル
髪は濡れたまま、無造作にかき上げられている
どう見ても、シャワーを浴びた直後だった
「紅海、起きた?」
あまりに自然な声
五条と視線が合うと
紅海の思考が、完全に停止する
『…え?』
心臓が、嫌な跳ね方をした
え、まって?ここ、悟の…部屋?昨日…私…
悟…シャワー…ベッド…
一気に誤解が雪崩れ込む
顔が熱くなり、心臓の音がうるさい
『ちょ、ちょっと待っ…え?え?』
瞬間、布団の中を覗いて自分の衣服を確認する
乱れは無い…多分…
紅海が何か言いかけたところで、五条は何でもない様子で部屋に入ってくる
クローゼットを開け、服を探しながら言った
「ん? どしたの?そんな顔して」
近い!!
目の前には、あまりにも無防備な現実
『え?えと…その』
五条はようやく紅海の様子に気づき、ちらりと視線を向ける
「あー…」
口元に、いつもの軽い笑み
「安心しなよ…何もしてないから」
さらっと言う
「昨日、お前ベロベロでさ
送ってきて、そのまま寝た。それだけ」
タオルで髪を拭きながら、続ける
「変な期待した? 」
からかう声
けれど、どこか紅海の様子を探る
『そ、そんな事…ない』
紅海は布団を握ったまま、まだ頭の整理が追いついていなかった
「あ、そーだ、紅海
免許証、ちゃんと、コッチの住所に変更届けときな?
そのせいで、こうなった節もある」