• テキストサイズ

【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第39章 スカートと青春


少し離れた場所から、その光景を見つめる
紅海は、小さく笑った
『……楽しそう』
胸の奥が、じんわりと温かくなる

悟は教師になって、本当によかった
生徒達は悟を信頼してるし
悟も、生徒達をちゃんと見てる

学生の頃
「弱いやつに気ぃ使うのって疲れる」
とか、そう言っていたのに

もちろん今でも、口が悪い時もあるし
人を食ったような態度もある

それでも
誰よりも生徒の未来を考えている人だ
その姿が、嬉しかった

……なのに
胸の奥が、ほんの少しだけ締めつけられる
あれ…?
どうしてだろう
皆、笑ってる…その輪の真ん中には、悟がいる
それは、とても嬉しい光景なのに

……なんでだろ
言葉にならない感情が、小さく胸を掠めた

寂しい?羨ましい?
何か違う

何かが少しだけ足りない
置いていかれたような…そんな曖昧な感覚

理由を探そうとして
紅海は小さく首を振った
疲れてるのかも
そういうことにしてしまおう

その時だった
「紅海!」
振り返ると、五条が手を振っている

「ぼーっとしてないで、ほら!こっち来な」
いつも通りの笑顔で手を振られた

その一言だけで、胸の中にあった引っ掛かりが、ふっとほどけていく
『うん!』

火花が弾ける輪の中へ駆ける

その瞬間だけは、さっきまでの小さな寂しさなんて、もうどこにもなかった

ヒュー!パンパン!

打ち上げ花火が空に飛ぶ

紅海と、五条は並んで花火を見上げる

『花火って…夏じゃなくても綺麗だね』
「そだね、やっぱ季節は関係ないね…誰とやって誰と見るか…要するに、気の合うやつとする事なんか何だって楽しいんだよ…なんてね?」


『ふふ、悟がマトモなこと言ってる』
「何、言ってんの?僕、いつでも、マトモだけど?」

紅海は、五条の方を、しっかり見る
『マトモな人は、女生徒のスカート履きません!』
ゲッと、五条は顔をしかめる
「そこん所は、反省してるって」
五条にしては珍しく非を認める…

『悟…素直だね』
きょとんとする
「まぁね」

それはそうだ、今度こそ嫌われてしまったかと思ったから、言い訳はしない

「生きた心地がしなかったよ」
その言葉は紅海の耳に届く前に
花火の音で書き消された
/ 444ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp