第39章 スカートと青春
『さて』
お土産を配り終えた紅海は教卓へ立つ
『もう帰らなきゃいけない時間だから、軽くホームルームなんだけど』
一年生三人へ目を向けた
『私たち、何日か学校を空けちゃったでしょ?』
三人が頷く
『だから、その間は"いつも出来ないことをやってみて"って宿題を出したよね?今日は、それを見せてもらおうかな?』
「はい」
最初に手を挙げたのは野薔薇だった
ノートを開く
「とりあえず教科書一冊、丸写し」
『……おぉ』
丸写しかよ!とヤジが飛ぶ中
紅海はページをめくる
びっしりと並ぶ文字
『基礎って大事だからね…理屈を覚えてると、術式の応用に繋がることもあるし』
「まぁ、途中から修行みたいになったけど」
苦笑する野薔薇に、紅海も笑った
『お疲れさま』
「じゃ、次」
伏黒がスマートフォンを差し出す
画面には何枚もの写真
「影の濃さの記録です」
『影?』
「どの程度までを"影"として術式が認識するか」
写真を切り替える
日向
木陰
机の下
壁際
『なるほど…これは確かに…どの程度を影と認識するか、
仮にワンコが出てきたら、その力は濃い薄いで変わってくるのか
…興味有るかも』
ワンコ……伏黒は沈黙する
紅海は感心したように頷いた
『これ、自由研究みたいで面白い発想!』
「まだ途中ですけどね」
「恵らしいねぇ」
五条が笑う
「はい、次オレ!」
悠仁が勢いよくスマホを取り出す
「黒閃が、意図的に出せないかなって思って!」
『うんうん』
「動画撮って研究してた!」
『なるほど…動画を撮る事でイメトレ出来そう』
「えーっと……」
スマホのアルバムを開く
「あ…やば」
指先がタップして止まった
「これ違う」
『?』
再生される
「イエーーイ!!」
画面いっぱいに現れたのは
女子用制服のスカートを履いた五条悟だった
「釘崎野薔薇でーす!」
「…………」
教室が静まる
『………………へ?』
紅海だけが、小さく声を漏らした
「ちょっと!!」
野薔薇が立ち上がる
「それ私のスカートの時の!!」
「えー?」
五条が覗き込む…
画面の中の五条がポーズを決める
「あ、これね?似合ってたでしょ?」
「似合う似合わないの問題じゃねぇの!!」
五条の的はずれな意見に釘崎がツッコむ