第39章 スカートと青春
京都から戻ってきた二人は、いつも通りだった
少なくとも、そう見えた
「はい、皆に、お土産」
紅海先生が机に箱を並べる
「うわ!ありがとうございます!」
虎杖は素直に受け取る
事件の詳しいことは聞いていない
京都で何かがあって
五条先生と紅海先生が応援に向かって帰ってきた
知っているのは、それだけだった
でも二泊してたんだよな
帰ってきたってことは
ちゃんと帰ってこれたってことだ!
虎杖は、それだけで十分だった
「悠仁」
「はい?」
「八つ橋、一個ちょうだい」
「えぇ!?先生、自分で買ってきたでしょ!」
「僕の分はもう食べたんだもーん」
「絶対ウソだ、まだ隠し持ってる!」
虎杖のツッコミに教室に笑いが広がる
そのまま五条は、自然な動きで紅海の肩へ腕を回した
「ねー紅海、悠仁のツッコミが鋭いんどけど~」
『ちょ、悟…』
「僕ら、疲れて帰ってきたのにねぇ?」
『もう……そう言うこと言わない』
困ったように笑いながら、紅海は肩を軽く押し返す
いつもの光景……なんだけど…虎杖は思う
なんか少しだけ違う
五条先生って、誰にでも距離は近い
肩を組むこともあるし
頭をぽんと叩くこともある
だから今のだって、別に珍しくはない
でも紅海先生には…なんて言うんだろう
甘えてる、っていうか
気を遣ってない、っていうか
先生らしくない
子どもみたいな顔をする時がある
前に紅海先生が言っていた
『同期がいるって、すごく心強いんだよ』
その時は、何となく聞いていたけど
今なら少し分かる気がした
任務で何があったかは知らない
きっと大変だったんだと思う
それでも、帰ってきたらこんなふうに笑っていられる
それは同じものを見てきた相手だからなのかもしれない
家族とは少し違う
でも、家族みたいに安心できる人
そんな存在なんだろうな
「悠仁ー」
「はい?」
「八つ橋まだ?」
「えーっ!?先生、まだ諦めてなかったんですか!」
「一個くらいいいじゃん」
「ダメ~!」
また笑い声が響く
その横で、紅海先生も、声を出して笑っている
その笑顔を見て、悠仁は思う
紅海先生が笑顔だと、五条先生も笑顔だし
五条先生が笑顔だと、紅海先生も笑顔な気がする
同期って良いな…