第12章 奈落の底から
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ぷはあ・・・。
息を止めていたようだった。まるで水に潜ったあとのように、俺は肩で息をしていた。
病室、京子のベッドの横の見舞客用の椅子で俺は目を覚ました。
加賀美の首を絞めた生々しい感触が手に残っている。
京子は?
ベッドを見ると、京子が薄っすらと目を開けるところだった。
「京子!」
ベッドにしがみつくようにして、京子の手を取った。
「・・・陽介・・・」
弱々しいが、たしかに俺の名を呼ぶ。そして、ニコリと笑った。
「怖い・・・夢を見ていたの。
でも、いつも・・・陽介が来てくれた。
そして、目が覚めたら・・・陽介がいた。」
涙が溢れる。止められない。
手を握りしめて、嗚咽する。
「もう・・・どこにも行くな・・・」
そう言うだけで精一杯だった。