第66章 レ・ナンフ・ラスィーヴ
「今度、うち、塾の進級テストなのよねー。あいつ勉強してるのかしら?」
優里がふてくされたような顔で愚痴をこぼす。今日はなんとなくお尻のあたりをもぞもぞと動かしているような気がするなと、里宇は思っていた。言っている言葉はいつも通りなのだが、なんというか、その目や唇がしっとりと湿っているような・・・そんな気がするのだ。
それが、里宇にとって最初の違和感だった。
「進級テスト大変ですよね・・・うちもそろそろ塾も考えないとって思ってるんですけど・・・ついていかれるか心配で」
そんなふうに話を合わせながら、アイスコーヒーを一口飲む。その苦みが、この間のバル・マスケでの出来事を思い出させた。