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淫夢売ります

第9章   あふれる想い


☆☆☆
数日後、私はモルフェを訪ねていた。

「どうなさいました?」
前と同じ席にユメノさんがいる。
私はカードを差し出した。
「これは、お返しします」
ユメノさんは顔を曇らせた。
「お気に召しませんでしたか?」
私は頭を振った。
「この上ない・・・良い夢でした。でも、これがあると、現実がもっとつらくなるから・・・」
だから、と、私は黒いクロスのテーブルの上にカードを置く。

ユメノさんは白い指でカードを取り上げると、表をこちらに見せた。
「うちのカードは夢を媒介するだけではないんですよ。
 それぞれに意味があります。
 このカードの意味をお知りになりたくないですか?」
なんと答えたら良いかと考えあぐねているのを諾と受け取ったのか、ユメノさんは言った。

「このカードの意味は『勇気』です。
 事情はわかりませんが、これをあなたが選んだということは、今、あなたに必要だということです。『勇気』が。
 勇気は、闇雲に突っ込むことではありません。自分のわがままを通すことでもね。
 でも、本当は言ったほうが良かったのに、言わないで過ごしたら、きっと、公開すると思うのです。あなたも・・・多分、お相手も・・・。」

ハッとして、私は顔を上げた。

「すぐにでなくてもいいと思います。
 ただ、せっかくなので、このカードは持っていって下さい。
 あなたが選んだカードです。あなたの力になってくれはずです」

ユメノさんがニコリと笑う。
最初に会ったときは、その瞳が夜の闇のように昏くて、ちょっと怖いと思ったが、今は不思議なことに、海のような優しい色に見える。

私は、カードを受け取った。

この思いを、伝えるべきか・・・、飲み込むべきか・・・。
ああ、でも、もう、答えは出ているんだ・・・。
分かっていたのだ。
自分がどうするべきか・・・いや、どうしたいか。

『これがあなたの欲望です』

そう、私は背中を押してほしかった。私が求めていたもの・・・それに言葉を与えるとすれば、それが、

『勇気』
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