第9章 あふれる想い
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カランカランカラン・・・
軽い鈴の音を立てて、クライエントの女の子が帰っていく。
奥からカグラが顔を出す。
「珍しいですね。ユメノさんがあんなこと言うなんて。しかもタダで・・・」
ぎろっと私はカグラをにらみつける。
なにさ、人を守銭奴みたいに言って。
その目におそれをなしたのか、さっと奴は引っ込んだ。
まあ・・・たしかに珍しいよね。
私にしては。
でもさ・・・あんなにきれいな「欲望」を見せられたら、サービスもしたくなるわ。
私の手元には『短い髪の女性にキスをする人』のカードのペアがある。
もう、多分、このカードを通して、夢を見させてくれることはないだろうな。
それは残念だけど・・・、でも・・・。
あの子のきれいな「欲望」が、優しい現実の中に開花しますように。
祈りを込めて、私はカードを使用済みファイルにしまいこんだ。