第40章 閉ざされた庭園
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「やったー!また会いに来てくれたんだね!」
ばふん、とユミが抱きついてくる。
今日のユミはブルーの小さな花をいくつもあしらったふんわりしたワンピースを着ていた。髪型も相まって、この間会ったときよりもふんわり度がアップしている。
キュッと抱きつかれたときに、優しく立ち上る女の子らしいいい匂いに私はまたしてもクラリとしてしまった。
え?ここ、どこ?
ぐるりと見渡すと、どうやらユミの屋敷の門の前のようだった。
いつの間にかまた、私はあの夢を見ているようだった。
「ほらね、言った通り!ちゃんとキスしたから、また会えたでしょ?」
抱きついたまま私を見上げるようにしてユミが微笑んだ。
「ね?今日はお二階を案内するわ」
そのまま、手を引かれ、屋敷の中に導かれる。
夢を見ている、ということがかろうじてわかったばかりだというのに、あっという間にユミのペースに巻き込まれていく。戸惑いつつも、私は促されるままに屋敷のホールを抜け、階段を上がり、正面の庭を見下ろす部屋に導かれた。
「ここが、私のお部屋よ」
部屋は広く、天井には花の蕾を模したような明かりが据え付けられていた。今は昼間で正面の窓から燦々と陽が入ってくるので、そこに明かりが灯っていることはない。
左手には天蓋付きのベッドとベッドテーブル、右手の壁には、洋タンスと鏡台、手前に開くと机になるような家具(後で調べたところでは、ライティングビューローというそうだ)が据えられていた。
部屋の中央には丸いテーブルに椅子がふたつある。
テーブルの上には、古びた洋書が一冊、置かれていた
先日訪れた部屋もそうだが、どれもが濃茶を基調としたアンティーク調の家具で統一されており、とても素敵な感じだった。
「素敵・・・」
まるでお話の中のような、そんな部屋。
それが率直な印象だった。
「ね、座って、座って」
ユミは私を椅子ではなく、天蓋付きのベッドの方に誘った。
外着でベッドに座るのは多少の抵抗があったが、ユミがそのままの格好で座っているので、私もそれに習うことにした。
ベッドはスプリングが効いていて、ぽよん、とした良い座り心地だった。何気なく撫ぜたシーツの肌触りもよく、質の良いものであることを想像させる。