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淫夢売ります

第40章   閉ざされた庭園


気がつくと私は、白い霧の中を歩いていた。

あれ?今まで私はどこにいたんだっけ?
記憶を辿ってみる。
確か、今日は・・・そう、そうだ。サークルの先輩から聞いた、新宿にあるモルフェという占いの店に行って・・・確か、夢がわからないと占えないと言われて、何も聞かずに帰ってきて・・・えっと・・・一人暮らしのワンルームに戻って、適当に夕飯を食べて、お風呂入って・・・あれ?寝たんじゃなかったっけ?

寝た後は・・・記憶にない。
どこかに出かけた、わけではないはずだ。

こんなところを歩いているわけがない。

そんな推論を経て、私は至極真っ当な結論に達した。
『そうか、これは夢だ』
と。

その気になって周囲を見渡してみると、なんとも不思議なところだった。道はアスファルトなどではなく、土の道だ。道の中央には雑草が茂っているけど、左右には、まるで馬車が通ったかのような轍がある。
道の両サイドには鬱蒼と樹木が生い茂っており、見上げると、木の枝がトンネルのように空を覆っていた。あたりには霧が立ち込め、視界が悪い。さすがに伸ばした手の先が見えない、というほどではないが、数メートル先は、もうミルク色に溶けていて、先がどうなっているかはわからなかった。

少し深く息を吸ってみる。
緑と湿った空気の匂い。嫌な感じではなかった。

そして、知らない霧の道にひとり残されているという、ちょっと見、異常な出来事二遭遇している割には、心はなんだか落ち着いていた。

これから自分が行くべきところはわかっている。そんな感じがするのだ。

「こっちかな?」

前方に歩を進める。足元は悪くない。すっと歩ける。
そのまま10分ほど歩いただろうか、目の前に黒い影のような物が見えた。すこしぎょっとしたが、近づくにつれ、それが古い西洋風の家、いわゆる洋館だということがわかった。目の前に左右に続く柵とゲートがある。ゲートには白木の扉がついていた。

ここに入ってもいいのかしら、と思いながら、思い切って扉の取っ手に手をかけてみる。取っ手は下に押し下げるタイプだった。押し下げて引いたり押したりしてみるが、どうやら鍵がかかっているようで、開かなかった。
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