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淫夢売ります

第30章   沈む海


☆☆☆
「あれ!早かったね?」
佳奈は狭い店内にディスプレイされた占い用具などを見ていたらしい。
どうだった?と聞かれたが、曖昧な返事しかできなかった。

なにせ、僕は夢占いをしてもらっていない。
カードを一枚、購入しただけだったからだ。

夜、都内のホテルに佳奈と宿泊した。ホテルといっても立派なホテルではなく、いわゆるファッションホテル、一昔前の言葉で言えばラブホテルだ。

「わーすごいーい」
物珍しそうにあちこち佳奈が見て回る。ちょっとだけ下調べをして選んだので、部屋は狭いながらも綺麗なホテルだった。

テレビを付けてみると、普通のチャンネルも映るがアダルトチャンネルも豊富にあった。こういうのをカップルで見ることもあるのだろうか?

「お風呂入ろうよ!」
佳奈が言う。ちょっとテンションが上っているようだ。

この後、当然のごとく、僕らは一緒にお風呂に入り、浴室で、それから、ベッドの上で、たくさん愛し合った。

ひんやりと冷房が効いているホテルの室内で、温かい佳奈の体温を感じている。ぴったりと寄り添うように眠っている彼女の頭をそっと撫でる。無邪気に深く眠っている姿を確認すると、そっとベッド脇のサイドテーブルの上にたたまれた服に手を伸ばす。

上着のポケットに入れたカードを取り出した。

『これがあなたの欲望です』

僕がカードを選び、ユメノが渡すとき、そう言われた。この時、改めてユメノの目を見つめた。その目は本当に闇のように黒く、不思議な色合いだった。

カードの図柄を見る。
まるで西洋のタロットカードのようなタッチ。胸を隠すように手をクロスさせた全裸の女性が描かれている。僕がこのカードに惹かれたのはその目だった。まるで怯えるような、求めるような、そんな不思議な感情が込められていた。

ユメノはカードの意味を説明しなかった。ただ、このカードを枕の下に敷いて眠れば、欲望を核に夢が生まれるということだった。

試してみるか?

そっと、僕は自分の枕の下にモルフェのカードを滑り込ませた。
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