第4章 同じ時間を過ごす
林間合宿の詳細が発表された日の放課後。
教室は、どこか浮ついた空気に包まれていた。
「え、1週間くらいあるじゃん?」
上鳴電気が声を上げる。
「普通に長くね?」
「その分、訓練も生活も見るってことでしょ」
八百万百が資料を見ながら答える。
「個性管理だけじゃなく、体調や判断力も含めて、ですわ」
「じゃあさ!」
芦戸三奈が手を叩いた。
「合宿前に、みんなで買い出し行こ! 足りないもの絶対あるって!」
「いいね!」
麗日お茶子が即座に賛同する。
自然な流れで決まっていく予定。
白井は、その様子を少し離れた席から見ていた。
――前なら、ここで距離を取っていた。
「狼薇も来るよね?」
三奈の声に、はっとする。
「……うん」
考える前に、返事が出た。
それが、少し不思議だった。
⸻
夕方のショッピングモール。
制服姿のA組は、どうしても目立つ。
「ジャージは最低二着だよね」
「洗面用具、共有できないし」
「タオル多めが安心だって!」
あちこちから声が飛ぶ。
白井は、買い物カゴを手に、
心操人使と並んで歩いていた。
「……寝巻き、どうする?」
「……ジャージでいいと思う」
「同意」
それだけで会話は終わる。
けれど、足並みは揃っている。
無理のない距離。
無言でも落ち着く関係。