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オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


白井は、
「慎重になる」と決めたはずだった。

触れる前に考える。
言葉を選ぶ。
距離を測る。

——ちゃんと、
——大人の恋人になるために。

……なのに。

放課後の教室。

白井は爆豪の机の横に立ち、
ノートを覗き込んでいた。

距離は近い。
でも、寄りかかってはいない。

「……ここ、
解釈これで合ってる?」

白井の声は、
落ち着いていて、柔らかい。

爆豪は、
ペンを止めずに答える。

「……ああ。
そのままでいい」

「……ありがと」

白井は、
少しだけ身を引く。

——それだけ。

なのに。

爆豪の視線は、
白井の指先に落ちていた。

机の縁に、
軽く添えられた指。

触れてはいない。
でも、近い。

——近すぎる。

「……お前」

「……何?」

白井は、
きょとんとした顔で見る。

「……いや」

爆豪は、
視線を逸らした。

——慎重になったんじゃねぇ。

——余計に、
——“分かってる距離感”になってる。

その様子を、
クラスメイトは見逃さなかった。

「……ねえ」

「……なんかさ」

「……あの二人、
雰囲気変わってない?」

「……距離は近いのに、
ベタベタしてないっていうか……」

「……大人っぽい……?」

白井は、
そんな視線に気づいていない。

ただ、
自分のペースで爆豪と話しているだけ。

それが、
余計に目立つ。
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