第7章 告げる、覚悟
夜。
白井は自室のベッドに横になっても、
眠気は一向に訪れなかった。
天井を見つめたまま、
さっきまでの出来事を、何度も思い返す。
——手に触れた感覚。
——指を絡めた瞬間。
——そして、抱きしめられた腕。
「……」
胸の奥が、
じん、と熱を持つ。
嫌じゃなかった。
怖くもなかった。
それどころか。
——離れたくなかった。
「……」
布団の中で、
そっと胸に手を当てる。
心臓が、
まだ少し早い。
——どうして?
——どうして、
——勝己の時だけ。
普通科の生徒に触れられた時の、
あの嫌悪感。
近づかれるだけで、
身構えてしまう感覚。
それが。
——爆豪勝己だと、
——全部、違った。
「……」
思考が、
一つの言葉に辿り着く。
——信頼?
——安心?
……違う。
もっと、
単純で。
もっと、
逃げられない。
「……好き、なんだ」
声に出した瞬間、
胸がきゅっと締めつけられる。
でも、
否定できなかった。
——触れたい。
——近くにいたい。
——抱きしめられて、落ち着く。
それはもう、
“好意”なんて曖昧な言葉じゃない。
「……」
静かに、
目を閉じる。
怖さは、
まだある。
でも。
——この気持ちを、
——なかったことにはしたくない。
白井狼薇は、
初めて自分の感情に、
正直になった。