第7章 告げる、覚悟
夕方の訓練場。
インターン開始を控えた自主訓練の時間。
白井は、一人でフォーム確認をしていた。
仮免を取ったからといって、慢心はない。
「……もう一回」
呼吸を整え、
個性を“使わずに”動作を確認する。
——制御は、日常から。
その様子を、
少し離れた場所から見ている影があった。
爆豪勝己。
声はかけない。
邪魔もしない。
ただ、見ている。
——無理してねぇ。
——ちゃんと、自分の限界を分かってる。
仮免前とは、
明らかに違う。
「……」
その背中を見ていると、
胸の奥に込み上げるものがあった。
誇らしさ。
安堵。
そして——
——置いていかれたくない、という感情。
「……クソ」
小さく呟く。
追いかけたいんじゃない。
引っ張りたいわけでもない。
——隣に、立ちたい。
その違いを、
爆豪ははっきり自覚していた。
⸻
「……狼薇」
白井が振り向く。
「……勝己?」
「少し、いいか」
短く言って、
訓練場の端へと促す。
二人並んで、
フェンスにもたれる。
夕焼けが、
二人の影を長く伸ばしていた。