第6章 揺れる日常、進む背中
放課後の教室。
黒板には、文化祭企画の役割分担が書き出されていた。
「安全管理とサポート班、
前線サポートと誘導班……」
八百万が、全体を見ながら整理していく。
「白井さんは、サポートと誘導の動線設計、
一緒にやれる方は、どなたか—」
「俺」
短く手を挙げたのは、
爆豪だった。
一瞬、教室が静まる。
「……爆豪?もっと目立つ役割やりたがるかと思った!」
上鳴が目を丸くする。
「文句あんのか」
それだけで、話は終わった。
「じゃあ、白井君と爆豪君は、同じ担当だな!」
飯田が決定し、黒板に文字が増える。
白井は、少し驚いた顔で爆豪を見る。
「……いいの?」
「当たり前だ」
目を逸らしたまま。
「守る企画だろ。なら、
守れるやつがやる」
それ以上の説明はない。
⸻
片付けのあと、廊下。
「……仮免」
白井が、ぽつりと切り出す。
「特別訓練、いよいよ始まる」
「知ってる」
爆豪は歩きながら答える。
「筆記も、実技も、甘くねぇ。俺だって去年落ちたしな。」
「……落ちたの?」
白井が聞くと、
爆豪は鼻で息を吐いた。
「普通に落ちたわ。だから、不安もあるし心配もする。準備すんだろ?」
一拍。
「俺も、
手伝う」
白井が足を止める。
「……勝己?」
「困ったら、頼れ」
短い言葉。
でも、逃げ道を塞がない言い方。
「お前一人で、
抱え込むな」
白井は、
ゆっくり頷いた。
「……ありがとう」
爆豪は、
それ以上言わない。