第8章 壁外からの帰還
「座ってください。お茶を淹れます」
リヴァイは、首を振った。
「……いい」
ユキノは、それ以上勧めず、ただ静かに見つめた。
また、沈黙。
リヴァイが、ようやく口を開いた。
「……お前、泣いてたのか」
壁外で。
ユキノは、一瞬目を伏せ、それから頷いた。
「はい……イザベルちゃんと、
ファーランさんが……
ごめんなさい。私、助けられなくて」
声が、わずかに震えた。
リヴァイの胸が、締めつけられる。
(お前が、謝るのか)
違う。
守れなかったのは、俺だ。
リヴァイは、低く呟いた。
「……俺が、弱かった」
ユキノが、首を振った。
「違います。リヴァイさんは、みんなを……
私たちを、守ってくれた。
あなたがいなかったら、もっと多くの人が……」
「黙れ」
リヴァイの声が、鋭くなった。
ユキノが、息を呑む。
リヴァイは、目を逸らした。
「……イザベルとファーランを、守れなかった」
その言葉が、ようやく口から出た。
胸の奥で、腐っていた言葉。
ユキノは、静かに近づき、リヴァイの前に立った。
「私も……守れませんでした」
二人の視線が、交わる。
ユキノの瞳に、また涙が溜まっている。
「でも……リヴァイさんが、私を引き戻してくれた。
生きて帰ってくれて、ありがとうございます」
リヴァイの喉が、詰まった。
(お前が……俺に、ありがとう?)
違う。
お前が、俺を救ったんだ。
リヴァイは、ゆっくりと手を伸ばした。