第2章 遅すぎるサンタクロース
彼がまっすぐに私の目を見つめてくる。
短く刈揃えられた髪の毛。少し四角い骨格の顔立ち。少し太めの眉の下にある瞳の色は深くてきれいな黒色だ。昔から、力強い目だなって思っていて。今、私はその目で見つめられている。
「英子から聞いた。・・・こんな時、こんなふうに、こんな事言うなんて、卑怯かもしれないけれど」
うううん・・・卑怯なんかじゃないよ・・・
「あいつに言われてっていうのも、なんだか情けない感じだけど」
おせっかい・・・だよね。
本当に。
「でも、佐知が他の男と付き合って・・・って聞いて、俺・・・」
わざと言わなかったんだよ。
言ったらなんだかおかしなことになりそうで。
「もう後悔したくないんだ・・・」
だから・・・
「俺と、付き合ってくれ」
智樹が私に、はっきりと言った。
「な・・・何言ってるの・・・?」
そう、何を言ってるの・・・だ。
今なら引き返せる。ダメだよ。だって、英子があなたを好きなのよ?
だから・・・
ブルッと彼のスマホが震える。
ほとんど同時に私のスマホも震えた。
智樹が自分のスマホを見て、そして、私にも見るように促した。
ラインの着信。英子から。
サンタのスタンプの後に、こうあった。
『私からのクリスマスプレゼントだよ!』
しばらくして、もう一つメッセージ。
『私は玉砕したからさ』
最後にこうあった。
『あんたの気持ちも、知ってた・・・ごめん』
スマホを両手で握りしめる。親友はずっと気づいていたんだ。
気づいてて、気づかないふりをしていた。
私も、気づかないふりをしていた。
だから、私が『彼』と付き合ったとき、彼女は智樹に告白した。
私の奥底に隠していた気持ちを、分かっていたのに、告白した。
彼女もずっと、苦しかったんだ。
私の目から涙が流れる。
それを見た、智樹がちょっとリアクションに困ったような顔をしている。
ごめん、智樹・・・きっと智樹にはなんだかよくわからないよね。
いつか、説明するから。
おちついて、このことが笑い話として3人で話せる日が来たら、きっと。
「あ・・・あのね、智樹・・・」
泣き笑いの私の顔を見て、なおさら智樹が困ったような顔をする。
返事、しなくちゃだよね・・・。