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天狐あやかし秘譚

第88章 動如雷霆(どうじょらいてい)


☆☆☆
結局、私達は、敵が動くとされる真夜中までは休憩を取ることとなった。ダリにしても、土御門たちにしても、一晩中私を助けるために奔走してくれていたみたいだったので、たしかに必要な措置なのだろうと思った。

私は私で、変な妖怪(どうやら『モミ』というエッチな夢を見せる妖怪だったみたい)に淫夢に引きずり込まれて、あんなことやこんなことされて、ちょっとげっそりしていたのもある。

その後のバトルに次ぐバトルで特に戦っていない私ですら疲弊をしている。
休憩は率直に嬉しかった。

皆で交代でシャワーを浴び、非常食を食している間、瀬良が、先程の土御門の話に出てきた『黄泉平坂』について解説をしてくれた。

「黄泉平坂というのは、日本書紀や古事記に出てくる、冥界と現世との間にあるとされている境界のことです。神話では、火之迦具土神を産み落とした際に死亡した伊邪那美命を追って、伊弉諾尊が下ったとされています。」

その神話なら知っている。
そこで、見ないでほしいと言われたのに、我慢できずに岩屋を覗いたイザナギは、イザナミの変わり果てた姿を見て、恐れをなして逃げてしまう。

逃げるときに駆け上がった坂。それが黄泉平坂というわけだ。

「伊弉諾尊は、伊邪那美命を中心とした黄泉の悪鬼たちがこの世に出てこられないように、結界を施し、その入口を大岩で塞ぎました。それが残っているのが、ここ島根県松江市東出雲町の揖屋(いや)というところです」

ええ!?実在するの?

「そうです。実際に言ってみると、そこは奥が行き止まりのただの洞窟、に見えるのですが、実際は、封印された黄泉路に通じているのです。死返玉は、文字通り、死者を蘇生させる玉。黄泉路を開き、死者の国と現世を繋いでしまう危険な力を持っています」

土御門は、まつろわぬ民たちの目的を、死返玉と死返玉の適合者である『片霧麻衣』を使って、黄泉路を解放することにある、と推測したというのだ。

条件は4つある。
1 新月であること
2 死返玉があること
3 死返玉を使える人がいること
4 1〜3の条件を揃えて黄泉平坂に行くこと

「でも、それじゃあ、麻衣ちゃんがこっちにいる限り、まつろわぬ民達は何もできないんじゃ?」
私は首をひねった。条件の3が達成できない。
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