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天狐あやかし秘譚

第88章 動如雷霆(どうじょらいてい)


☆☆☆
とりあえず、ということで私達は私が捕らわれていた廃ホテルに向かった。土門のところの占部衆の調べによると、この廃ホテルは、建築半ばでオーナー会社が倒産して、そのままになってしまったものだという。言ってみれば、廃業どころか、創業すらしていなかった、というわけだ。

どちらにせよ、放置されたまま10年近く経っているので、中は荒れ放題。そこの5階部分を、カダマシたちが勝手に改装してアジトに使っていたようだった。

「寝るところ、トイレ、お風呂、キッチン・・・生活に必要そうなところは使える状態になっていますね。食料も少しはあります。」
瀬良が一通り見て回った感想を述べる。
「冴守が調べたところ、中原興行という会社が買い取って、工事再開の申請をしていたのですけど、結局、その会社は実体がない幽霊会社だったのです。」

要は、ペーパーカンパニーを介して、工事中という名目で最低限の水や下水、電気などを引いていた、ということだろうとのことだった。

「奥にいた片霧麻衣は保護しました。前回の日暮の報告から、何らかの洗脳を受けている可能性もあるので、術で眠らせています。」
「陰陽寮への連絡も一通りは終わったぞ、土御門さん」

大鹿島と左前の報告を受けて、土御門がボロボロのソファの上で考え込む。

「多分、敵さんの狙いは・・・。そやな・・・痛み分けってところか」
何やらブツブツと独り言のように言っていた。

ちらっと私とダリの方を見る。

「ここは、いっちょ休憩・・・と行きますか。」
え?と瀬良が声を上げる。
「良いのですか?土御門様。敵は・・・まつろわぬ民達は、死返玉を持って逃走したのでしょう?追う必要はないんですか?」

うーん・・・と土御門が顎を指でかく。

「瀬良ちゃんの言うのももっともなんやけど・・・、おそらく敵の行くところは、知れとる。動くとすれば、今日の真夜中・・・やからな。それまでは休憩と増援の要請に当てるべきやな。」

それに・・・と続ける。

「ダリはん、腕、喰われたままなんやろ?あんさんなら、分かるよな?敵の場所」
ああ、とダリが頷いた。
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