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天狐あやかし秘譚

第88章 動如雷霆(どうじょらいてい)


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【動如雷霆】行動を起こすときは雷のように激しく、勢いよくという意味。
『動くこと、雷霆の如し』みたいな。
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「みんな・・・」

捕縛されたカダマシを見上げる陰陽寮の人たちを見て、心底ホッとする。よかった、これでダリも・・・

って、そうだ!?

「ダリ!ダリが・・・あの男の手の中に!!」

早く助けないと!そう言うのだが、振り返った土御門は怪訝そうにする。
「ん?ダリはん?」
「そ・・・ダリは今、妖力が尽きかけてて、カダマシにさっきぎゅっと掴まれて、ぐったりしちゃって!早く!お願い!!早く助けて!!」
土御門にすがるようにその服の裾を掴む。今ならまだ、間に合うかもしれない!
「え?なんで?」

ところが、土御門は要領を得ないと言った風で、ぽかんとしている。

なんで・・・?なんでって?
なんでわかってくれないのよ!と、そう思った時、

「綾音よ」

ん?

失笑混じりの声がした。私の、後ろから・・・?

まさか?

ゆっくりと振り返ると、そこには、ボロボロの衣服はそのままだが、涼しい顔をしたダリが、何喰わぬ顔で立っていたのだ。

「な・・・なんで!!!」

ぽん、と、ダリが私の頭に左手を載せて、そのままグリグリと撫でてきた。
「それほどまでに我のことを心がけにしてくれるとは・・・嬉しいの」

もう一度、後ろを振り向く。
カダマシの手には確かにぐったりとしたダリが、口から血を流して握られたまま。
もう一度、前。涼しい顔をしたダリ。

まさか・・・まさか・・・!?

「狐は・・・人を誑かすものと、言うたであろ?」

ば・・・

心配したのに、めっちゃ泣きそうになったのに!!
必死だったのに!

それをお前はぁ!!!!
平気なら、平気だったのなら!!!

「バカヤロー!!早く出てこーい!!!」

私の怒りの絶叫が、静まりかけた森に木霊した。
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