第87章 侵掠如火(しんりゃくじょか)
「死返玉は、あの大妖の腹の中・・・のようだ」
男性の声に振り返ると、いつの間に降り立ったのか白髪、白ひげのダンディ陰陽師、祓衆筆頭である左前がいた。
「むちゃをしすぎです!土御門様!」
「私は高所恐怖症なのです!それなのに、ヘリコプターを六合(りくごう)の風で後ろから煽るなんて・・・死ぬかと思いました!!」
そして、森の木々の影から、ゆっくりと姿を表したのは、白い着物に赤い袴を身に着け、背には大弓を担いだ美人さん・・・。
「水公の結界です・・・。歳刑神の力を使った邪なるものを縛り付ける捕縛術です・・・そうそう容易に破壊されることはないでしょう・・・」
それは、祭衆の長、大鹿島だった。
いつの間にか、カダマシと私との間には、
助の一位 土御門加苅
丞の一位 土門杏里
丞の二位 左前甚助
丞の三位 大鹿島雪影
陰陽師 瀬良夕香
という、陰陽寮でも屈指の実力を持つ人たちが、立っていた。
「んじゃ、いっちょ、さっさと片付けて、腹の中から死返玉回収して・・・みなはんで出雲そばでも食いに行きましょか?」
将軍剣を肩に担いだ、土御門加苅が、不敵な笑みを浮かべてそう言った。