第10章 迷途忘路(めいとぼうろ)
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【迷途忘路】進むべき道を見失い、迷い道に入ってしまうこと。
あれ?ここはどこ!?私は誰??みたいな。
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「やーだー!清香も行くっ!」
清香ちゃんがリビングの床でひっくり返って駄々をこねる。子供って本当にひっくり返って手足バタバタするんだ・・・マンガみたい。
まあ、そうですよねー・・・。
一応、まだ家が見つかっていないので、私は今日も不動産屋さん巡りをする予定だった。早くしないといけない。あと10日ほどで退室期限が来てしまう。はっきり言って、超まずい。
なんだか知らないけど、家族が増えてしまったしなあ。しょうがない・・・条件を緩めるか・・・。でも、緩められるのって、場所くらい?
うーん、かといって千葉や奥多摩はイヤー!!!(千葉や奥多摩の在住の方ゴメンナサイ・・・。)
とにかく、そんなわけで、ダメ元で清香ちゃんにダリと一緒に家でお留守番をと言った結果が、冒頭のセリフである。ダリが横でものすごく胸をなでおろしたような顔をしている。
まあ・・・そうだろうな・・・清香ちゃんにとって、私・・・ままだもんな・・・。
連れて行くにしても問題がひとつ。今、彼女は私の半袖Tシャツをブカブカに着て、これまた少し大きい私のショーツを無理やり履いている状態で手足をバタつかせているのである。
この格好じゃあ、外に出れないでしょ。
ちらっと狐モードで尻尾を振っているダリを見る。ダリは朝起きたときから、清香ちゃんによじ登られるのを警戒して、人型になろうとしない。
その格好でも、さっきはモフられていたのだが・・・。
くわっとあくびをし、後ろ足でカリカリと首筋をかいている。
「せめてダリのように自由に姿を変えられればなあ・・・」
ちらっとダリがこっちを見た。そして、ふわりと狐神モードに姿を変える。
ちょっと・・・いきなり変わらないでよ!びっくりするじゃない!?
「あ!ぱぱ!おはよう!!」
急に狐神モードのダリが現れたことで、清香ちゃんがびっくりして駄々こねをやめて、ケロッと機嫌を直す。どうやら、清香ちゃんは狐モードと狐神モードのダリが同一人物だということがいまいちはっきりしていないようだ。
キュッとダリにしがみつく。
ダリがそっとその頭に手を載せていたのが、なんとなく微笑ましかった。
「姿を変えることはできるぞ」
