• テキストサイズ

天狐あやかし秘譚

第8章 楚夢雨雲(そむううん)


☆☆☆
一体・・・なぜ?

目の前で急拵えのご飯を美味しそうに食べる清香ちゃんを見て、頭を悩ませる。

ソーセージとゴロゴロお野菜のコンソメスープ
ジャムサンドイッチ

どっからどう見ても、普通の人間の子どもだ。

もぐもぐと元気にサンドイッチを頬張ったせいで、ジャムが口の端っこについているよ・・・。あらあら・・・。
きゅっきゅっとウェットティッシュで拭いてやると、にこーっと私に向かって笑いかけてくる。

彼女は、スプーンとフォークを上手に使って、小ぶりの器に盛ったスープとジャムサンドイッチ二切れをあっという間に平らげた。

「おいしかった!まま!ありがとう!」

また、口の周りを拭いてやると嬉しそうに言う。
まま・・・って・・・。

「えっと・・・清香ちゃん・・・だよね?」
「うん、そうだよ?」

何を当たり前のことを聞くのだ、というような不思議そうな顔をされてしまう。

なんでいるの?って聞いてもわかんないだろうなー。
無邪気に笑ってダリによじ登っている清香ちゃんを見て、なんというか、途方に暮れてしまう。いったい、何が起こってるのだろうか?

ダリは、清香ちゃんの扱いに完全に困惑しているようで、ガチガチに硬直して、さっきから全く動かない。そこをジャングルジムよろしく、清香ちゃんが登っては降り、登っては降りしてキャッキャと楽しんでいる。。
ダリの尻尾がぴるん、ぴるんと痙攣しているように動いているのはどうやら『戸惑い』の感情を表しているようだ。

「き、清香ちゃん?あんまりどしん、どしんすると、下の人に怒られちゃうから・・・」
おずおず言うと、「はーい」と素直に聞く。聞き分けの良い、いい子だ。そのままダリに肩車して、頭の上にちょこんと顔を乗せる。

なに、これ?かわいい・・・♡

とか、言ってる場合じゃない。

「ダリ・・・これって?どうなってるの?」

だって、清香ちゃんは死んでいて、魂になっていたんじゃないの?行くとすれば『常世』なんでしょ?

「ふーむ・・・。しっかりと実体があるようじゃ・・・。あの御九里とかいう術者のせいかもしれぬな・・・」
清香ちゃんがぶらぶらさせている足をさすりながら、ダリが言うには、どうやらこういうことらしい。
/ 475ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp