第6章 霖雨蒼生(りんうそうせい)
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恐る恐る公園を覗きこむと、あの子は同じ席にうなだれて座っていた。
ダリは「害はない」と言っていた。多分、本当に座っているだけなんだろう。昨日、私は共揺れしてしまったことで影響を受けすぎ、「取り憑かれた」ようになってしまったが、それはそこまで強く気にすることはないようだ。
怖い・・・けど、昨日とは違う感覚だ。清香ちゃんのことを知ったからだと思う。
ゆっくりと近づいていく。そして、彼女の隣りに座った。
彼女はうつむいたまま震えていた。
まだ日が高いせいか、公園の中央にある遊具ではたくさんの子供たちが遊んでいる。中には、清香ちゃんと同じくらい、4歳とか、5歳位の子供もいる。
みんなお父さんやお母さんと一緒に、ニコニコと遊んでいる。
もしかしたら、目を焼かれ、鼓膜が破れた清香ちゃんの魂には、この景色が見えていないのかもしれないが、それでも、目の前の光景と、清香ちゃんの姿のあまりの対比に、また胸が痛くなる。
今日、私は黙って座っているからか、清香ちゃんは身動きをしない。多分、昨日は近づいたとき、話しかけたからこそ私を認知したのだろうと思う。話しかけなければ、彼女は何もしてこない。もしかしたら、耳は少し聞こえているのかもしれない。
来たのはいいけど、どうしたらいいのだろう・・・。やっぱりダリの言うように何もできないのだろうか?
「清香ちゃん・・・?」
思い切って話しかけてみた。やはり声は聞こえるのか、私の方に顔を向ける。目のあるべきところに真っ黒な虚がある。怖いけど・・・だけど・・・。