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天狐あやかし秘譚

第45章 雪月風花(せつげつふうか)


最初のひとくちを食べた時、ダリは目を大きく見開いていた。

「なんと・・・このような菓子が・・・」

後の言葉が続かないくらい美味しかったらしい。甘いもの、というのは昔の人にとっては貴重だ。だからこその反応なのだろう。

いっぱい笑った。
いっぱいお話した。

とても、とても、温かい、優しくて、楽しい時間。
いいなあ・・・こういう時間。

思えば私、夏前は孤独だった。
それが、ダリに出会い、清香ちゃんと出会い、芝三郎がうちに来て、桔梗がいて。

不思議な縁で陰陽寮に入ることになって。

ああ、人生って何があるかわからない。
でも、なんか、今、多分、私幸せだ・・・と思えた。

その鍵は、やっぱり・・・

ふとダリを見つめる。

くいっとまた盃をあけていた。ダリも楽しいのだろう。顔に少し朱が差している。

強くて、優しくて・・・
そして、何より私のそばにいてくれる・・・

「ん?なんじゃ、綾音」

不意にダリがこっちを見たので、慌てて顔をそらす。急に振り向かないでよ!びっくりするじゃない。

「な、なんでも・・・」
「ふ・・・そうか」

言葉少ないけど、なんとなく、私の気持ち、わかっちゃってるんだろうな、と思う。それが、また、嬉しかった。
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