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天狐あやかし秘譚

第34章 銘肌鏤骨(めいきるこつ)


☆☆☆
その後も、何年かおきに左近次のような男が屋敷にやってきた。みな、最初は怯えるが、そのうち『私』のことを理解し、身体と心の乾きを癒してくれるようになる。

ただ、何人の男と交わろうとも、どんなにこの身に子種を注がれようとも、私の身体が子を成すことはなかった。私はずっと、一人だった。

また、どの男性も長く生きることはなかった。

男が死んでは埋葬をし続け、いつしか、左近次を埋葬した部屋は男たちの墓でいっぱいになっていった。

男たちが短命な理由はだんだん分かってきた。大きく理由は2つある。

ひとつはこの屋敷の作りだった。
どこからも陽が射さない。普通の人間は、陽の光を浴びなければ長く生きることはできないということを知った。

そして、もうひとつは、『私』が彼らを望んでしまったことだった。
領巾は望んだものを与えることはなかった。
だから、望めば望むほど、彼らを永らえさせることができなくなるのだった。

このことは、『私』を更に絶望の淵に追いやった。

子を成すこともできない。
死ぬこともできない。

生の輪廻からも、死の輪廻からも外れた外道の身。

永遠に満たされることなく、ただただ、契に縛られ、この家に囚われ苦しみながら生きていくよりほかないのだ。

これが、『私』に与えられた神罰なのか?
これが・・・これが・・・。

家の壁を幾度も幾度も叩いた。
狂ったように叫びながら叩き続けた。
それでも、何も変わることはなかった。
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