• テキストサイズ

天狐あやかし秘譚

第33章 往古来今(おうこらいこん)


『あなたは、必ずいつか、この浮内の家を出なさい』

それが、姉の口癖だった。

「居場所がわかっているのなら、急ぎましょう。とにかく綾音さんを救い出すのが先決。それからこの島を脱出します。データは十分とれました。後は、陰陽寮に・・・お任せください」
宝生前さんが立ち上がる。
「ダリさん、先程、『ホシガリ様』が使った術は、わかりますか?綾音さんは異界に取り込まれたようですが・・・」
ダリさんもまた、立ち上がる。

「問題ない・・・我は天狐・・・天狐、ダリぞ」

その瞳は壁の向こうを見つめていた。
静かだが、激しい怒りが全身からあふれているようだった。

「わかりました・・・。ただ、妖力は温存を。あなたは、綾音さんがいないと・・・」
言いかけた宝生前さんをダリさんがキッと睨みつける。おっと、と宝生前さんは言葉を切った。どうやら、誇り高き天狐のプライドを傷つけそうになったようだった。

「貴様に、言われるまでもない」

とにかく、綾音さんを助けることが先決だ。僕を救うために、囚われたようなもの。今度は僕は、恩返しをする番だ。

僕らは立ち上がり、奥の間を目指し歩き始めた。
/ 475ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp