第32章 毛骨悚然(もうこつしょうぜん)
「なるほど・・・そうですか・・・。だとすると、あの女の言ったことが非常に意味を持ってきますね」
宝生前が自身を襲った女から聞き出した話を教えてくれた。
『本家なんて・・・見たことない!!!みんな圭介様が命令するし、この島の人はみんな浮内の家に世話になってて、逆らえないんです・・・』
薫という女が言ったことだ。
「本家は『存在しない』のかもしれないですね。ここにはホシガリ様だけがいる・・・それなら、綾音さんたちが今しがた見てきた家の様子にも合点がいきます。この家がこれほど複雑に入り組んでいるのは・・・、ホシガリ様を閉じ込め続けるため、かもしれません」
「え?じゃあ・・・草介さんは?」
私はにわかに不安になってきた。この家に人間は一人もおらず、ただ、ホシガリ様という正体不明の神のみがいるとしたら・・・
「早くしないと・・・婿入りの儀というのは、とりも直さず生贄の儀そのものかもしれません」
ひえええ!
私の頭の中には、謎の神、ホシガリ様に頭からバリバリ食べられそうになっている草介さんの図が浮かび、背筋がゾッとしてしまった。