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天狐あやかし秘譚

第29章 異聞奇譚(いぶんきたん)


『まあ、私も術は使えますがね・・・』

学者肌とは言え、陰陽師は陰陽師。多少は術は使えるらしい。ちなみに彼は祭部なので、得意とするのは結界術だそうだ。ただし、小規模なものに限られるという。

『大鹿島様や敷島くんのような大掛かりな結界は無理です』

と頭を掻いていた。人によって向き不向きがあるようだった。

「綾音・・・もうすぐ着くようだぞ」

考え事をしているうちに島が大分近くなったようだ。ダリが上方から呑気に声をかけてくる。陸地が迫ってきたせいか、余計に揺れがひどくなってきたような気がする。涙で煙る眼をこすりこすり前方を見ると緑の小高い山や漁村を擁する島が見えてきた。

あれが浮内島・・・。瀬戸内海に浮かぶ人口1500人ほどの小島だ。

もう少しって、後何分くらい!?
込み上げてくるモノを必死に我慢しながら、私は一刻も早く陸につくことを祈っていた。
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