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天狐あやかし秘譚

第26章 一陽来復(いちようらいふく)


☆☆☆
遅めのお昼ごはんが終わって少しゆっくりしていると、お外が少し暗くなり始めていた。そろそろ帰りましょう、ということで、私達はレストランを出る。

今日は、とても楽しかった。ぱぱとままが並んで私の前を歩いていた。ままもニコニコしてて、とても嬉しそう。

こんなに、楽しくていいのかなっていうくらい、楽しい気持ちだ。

この道を真っ直ぐいくと、帰り道だ。お家に帰ったら『桔梗』さんにも、お着物を見てもらおう。私は手を繋いでもらおうと、ままの方に駆け寄ろうとした。

その時、右手の脇道が目に入った。
お家とお家の間の細い道。ずっとずっと奥まで続いている。
その奥に、何かがふわりと横切った気がした。白い、お着物を着ている、女の人のようだった。髪の毛は『桔梗』のような感じだけど、肩に触れるか触れないかくらい。その髪の毛は黒くてサラサラそうで、綺麗だった。

一瞬だけだったけど、その横顔がとても気になった。
あの・・・お顔・・・。

夢の中の女の人だった。それに気づいた私は、まるでなにかに引き寄せられるようにその脇道に走っていっていた。

暗い道を走り続ける。あの人・・・あの人を連れてこなきゃいけない。
だって、私は今、ぱぱとままと一緒でとっても幸せだから。あの人はまだ泣いているかもしれないから。

きっと、ままだったら、ぱぱだったら、あの人のことも、守ってくれるから・・・。

「待って!」

角を曲がると、次の角に白い着物の裾がふわりと消えるところだった。
待って!行かないで!・・・

今の私は慣れないお着物を着て、草履を履いているから、そんなに早くは走れない。でも、行かないといけない。

道がどんどん暗くなる。暗くなって、怖くなってくるけど、それよりもあの人に追いつくことの方がずっとずっと大事だった。

何度目かの角を曲がると、目の前が急に開けた。左右に何個も石の灯篭が並んでいて、床は石畳みたいになっていた。そして、石の灯篭には蝋燭の火がチラチラと瞬いているので、ほんのり周囲は明るかった。

石の灯篭の外にはお家が連なっているけど、どのお家も真っ暗で人がいないように感じられた。

石畳の先には階段があり、少し上がったところに、大きな青色の鳥居があった。赤いものや石造りで白いのは見たことがあるが、青色は初めてだった。
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