第23章 隋珠和璧(ずいしゅかへき)
いいかけた瞬間に、パン!と大きな音がした。
何?
思った瞬間、また、パン、パン、パン、と連続して部屋のあちこちから音がする。
これって・・・もしかして、ラップ音ってやつですか?
突然の音に首をすくめていると、今度は、床においてあった私のバッグが、ふわっと宙に浮いてものすごい勢いで壁にぶつかった。中のものが散乱する。
「きゃあ!」
びっくりしてしゃがみ込む私。
「ままー!」
「こ・・・これは!!」
清香ちゃんと芝三郎もパニックになっている。
すっと、また私の視界の端っこを何かが横切った。さっとそっちを見るが、消えてしまう。また、すぐに別の方に動くものを感じ、そちらを見る。
なに?やっぱり何かいるの?
荷物から飛び出したものがビュンビュンと飛び交い、あちこちからラップ音が響く中、私はキョロキョロと落ち着きなくあたりを見回す。何?一体何がいるの?
ダリは部屋の真ん中で落ち着き払っていた。時折、自分の方に向かってくる小物を手で叩き落としていた。
「ふむ・・・家鳴りか・・・」
そう一言いうと、右手で空中を払うような仕草をした。
瞬間、バチン!と大きな破裂音がし、ラップ音や物が動く怪異が、一気に鎮まった。
恐る恐る周囲を見ると、先程まで視界の端っこをヒュンヒュン飛び回っていた怪しい影も見られなくなっていた。
「だ・・・ダリ、なんか・・・いるの?ここ・・・」
恐る恐る顔を上げてダリに聞くが、ダリは考え込むような仕草をする。
「妙な・・・気配だな。あやかしではないようだ・・・。一応怪しい気配を祓ってはみたが、別に根源を断ち切ったわけではない。綾音には何かが見えていた・・・のか?」
確かに見えていた。ダリに見えなくて、なぜ私に見えたのかはわからないが、あれは・・・、まるで着物を着た女性のようだった。
『・・・ていけ・・・』
また!?
「ねえ、ダリ、今なにか聞こえたよね?」
「いや・・・我には聞こえぬ」
「確かに聞こえたんだけど・・・」
『出ていけ・・・』
やっぱり!
「出ていけって、言っている。やっぱりなにか、何かいるよ、ここ」
ふむ、とダリが考え込む。少し、周囲を見渡すと、ある一点を見つめた。和室に続く入口だ。