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天狐あやかし秘譚

第23章 隋珠和璧(ずいしゅかへき)


♡ーーーーー♡
【隋珠和璧】この世に二つとない宝物。
あなたの貴重と、私の貴重は違うけど、大切にするよ、みたいな。
♡ーーーーー♡

これが・・・『社宅』?

私の目の前には、大きな日本家屋が広がっていた。門から入り口までアプローチ(もしかしたら日本家屋的には違う言い方があるのかな?)がちゃんとあるし、そして、そんなに広大ではないけど、お庭もある。

「お庭だああ!」
その庭を見て、清香ちゃんが喜んでいた。

こ・・・こんなところに住んでよいのですか?

ちょっとワクワクする。瀬良がいうには中はしばらく清掃等が入っていないので、掃除をする必要があるかもしれないが、3年前にリフォームはしてあり、暮らすのに不自由はないはずだという。

そう、この東京のやや郊外、とある市に位置する日本家屋こそ、宮内庁陰陽寮に就職した私にあてがわれた社宅、瀬良曰く『綿貫亭』なのであった。

ここに来るに至った経緯は、数日前に遡る。

☆☆☆
あああ・・・
いよいよ、アパートの退去期限まであと、3日となってしまった。

結局、家は見つからず、職も見つからなかった私は、土御門の話に応じるよりほか、道がなくなっていた。つまり、『宮内庁陰陽寮に就職する』という話である。

というわけで、今日は宮内庁に来ていた。

あまり知られていないが、宮内庁は東京メトロ二重橋前駅から徒歩15分ほどの所、皇居内に位置している。そして、陰陽寮の建物は宮内庁本庁からさらに5分ほど歩いたところにひっそりと建っていた。外観の印象は古い病院、みたいな感じ。御影石の石積み風の壁で多角形の形をしているようだ。嵌っているガラスも古そうな作りで、均一な作りではないのだろうか、あちこち微妙に屈折率が違うように見える。昭和の初期か大正時代くらいに建てられたような佇まいである。

私達は、私とダリ、ついでに、『清香も行く〜』と駄々をこねるので、清香ちゃん、さらには、置いていくわけにもいかないので小学校低学年の男の子に化けた芝三郎といういつものメンツでここを訪れていた。

受付の女性の制服すら、やや古風な感じを覚えるエントランスを抜け、案内された応接室にて待つ。しばらくすると、瀬良と土御門がやってきた。

「おう!元気やったか?綾音はん」
「ようこそおいでくださいました」
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