第20章 往事茫茫(おうじぼうぼう)
「ああ!・・・ダリ様・・・ダリ様ぁ!」
ダリが女性の身体にのしかかるようにして、腰をぐっと深く打ち付ける。
「はああ!・・・ああ!」
女性の方もしなやかな腕をダリの背に回し、愛おしむように撫で、離さないとばかりにきつく抱きしめる。ダリの程よく筋肉質な背中に、女性の細腕が絡みつく。
「ああ!そのまま・・・そのまま・・・」
ダリが腰を激しく打ち付けると、跳ねるように女性の体が痙攣する。
ごくり、と私は息を呑む。女性がダリから与えられている快感を思い、アソコがじゅんと湿り気を帯びるのを止められない。
ダリがぐっと深く腰を押し付けると、一段と大きな嬌声を女性が上げる。
ダリのお尻の部分が少しプルプルと震えているように見えた。
射精・・・してるの?
中に出したの?
興奮と嫉妬が胸の中で渦を巻く。胸が痛い。目がこれ以上ないくらい見開かれている。見たくないのに、動けない。ダリの吐息、上気した顔、愛おしそうに女性を見る目。
そんなの・・・見たくない・・・見たくないよ。
「ダリ様・・・ダリ様・・・」
女性が余裕のない声でダリの名を呼ぶ。そのまま口づけをし、態勢を変えた。女性が上にダリが下になる。いわゆる騎乗位という態勢だ。
女性がダリの上で腰をグラインドさせる。月明かりが青く指す部屋の中、柔らかく、淫らに腰を動かすさまはとても淫靡だった。そして、ふと女性が自らの長い髪の毛を払う。
え?!
顔・・・、私!?
そう、髪は平安女性よろしく、長く腰までの豊かな黒髪だったが、その顔は正しく鏡で見慣れた自分の顔だった。自分が、ダリと愉悦の表情を浮かべて交わるさまを見ている・・・。これ、何?何がおきてるの?
『あれはあなたではないですよ?』
不意に左の方から女性の声がした。あたりを見回すが誰もいない。ただただ月影が落ちる庭があるだけだ。
『あれは1000年前の天狐の恋人』
今度は右側から声がする。同じ声だった。移動した?
『碧音・・・という女』
後ろから。この声、どこかで聞き覚えが・・・。