第19章 進退両難(しんたいりょうなん)
人差し指から放射状に雷電が走り、周囲の女怪を灼き尽くしていく。
ぎゃあああ!!!
雷に打たれ、女怪共が四散していく。
これで・・・全部かな?
あたりを見回すと、奥にまだ動く影があった。
まだおったか!
もう一度召雷をしようと構えると、なんとも間延びした声が響く。
「うごかなーいで?」
があ・・・うぐうう・・・・
目が暗闇に慣れ、奥の影がはっきり見えてくる。
裸の男だった。やはり四肢がない。それを後ろから黒い女が抱きかかえるようにしていた。
男の身体が時折跳ね上がり、跳ね上がるたびにジュッチャ、ジュッチャと妙な水音がしていた。
「せーっかく仲間が男の子たちを犯していたのに・・・、邪魔しないでよん♡」
データでしか見たことがないから確信が持てないが、黒い女は河西佳苗だ。目は赤く光っており、事前に知らされていなければ、まだ生きた人間である、ということを忘れてしまいそうな風体をしている。
あがあ・・・ぐうう・・・
河西に抱えられている男がうめき声を上る。河西はその体を自らの細腕で上下に無理やり揺すっているようだった。上に掲げ、落とすごとに男が苦悶とも喜悦ともつかぬ呻きを上げる。やっと何をしているかがわかった。
肛門性交?
河西はその股間に妖力で陰茎を作り上げていた。その陰茎で男を犯していたのである。
「ねえ?今気持ちいい、気持ちいいしているところなんだよ?令児をぉ・・・佳苗がいーっぱい愛してあげてるのぉ!!」
ぎゃあははははははは!
大音響で笑う。対していると分かる。この河西佳苗という女、まだ女怪になりきっていないはずなのに、ものすごい妖気だ。
これまで周囲に湧いていた女怪は、こいつが引き寄せていたのか?
だとしたら、こいつが女怪たちの首魁『始まりの女怪』なのだろうか?
いや、そんな訳はない。こいつ自身、女怪たちに呼ばれていたはずではないか!?
「だーかーらー・・・・邪魔しないでぇえええええ!」
河西が天井を仰ぎ、ガバっと口を開けた。口の中から黒々とした何かが吐き出される。それは中空で渦を巻き、空間に穴を穿った。
「なんや!?」
土御門も見たことがないもの。ただ、それが今まで体験したことのない妖気をはらんだものだということだけは肌で感じとった。
あれが妖魅だとしたら、甲種・・・の枠に収まらない!
