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天狐あやかし秘譚

第116章 温慈恵和(おんじけいか)


最初は小さく、次第に大きく。それは最後には大層な大声になる。彼女はおもむろに椅子から飛び降りると、タカタカタカっとダリに走り寄り、ぴょんと飛びついた。

「だ・・・ダリ様、ダリ様!!!お会いしとうございましたぁ!!!」
抱きついた拍子にダリの胸にグリグリと額を擦り付ける。
「お・・・お前!・・・チコ・・・!サナヒメか?」

え?チコ・・・?
って・・・永遠の◯歳?

ダリが、なおもグリグリと胸に顔を擦り付けてくる狐少女をぐいとその身から引き離す。まじまじとその顔を見て不思議そうに目を眇めていた。

やっぱり、ダリの知り合い・・・なの?
もしかして、親戚の子だったりするのだろうか?

「お前、その姿は・・・?」
「はい!サナは、ダリ様のお言いつけをずぅーーーーっと守ってきたのです!
 でも、でも、都合により妖力を補うこと能わず、このような姿に・・・
 ここでダリ様にお会いできて、サナはとっても幸せです!!」

母についていたあの狐の少女はどうやら『サナ』という名前らしい。そして、おそらく『チコ』というのは、ダリが天狐(てんこ)であるのと同じように、狐の妖怪の一種の名なのだろう。『地狐』とでも書くのだろうか?

事情はよくわからないが、ダリと知り合いで、ずっと探していた・・・みたいな?まあ、ああして会えて嬉しそうにしているのなら・・・

「ダリ様!サナは朱音殿をお守りするため、妖力を補わねばなりません!
 何卒、サナにお力添えを!」

ちゅうっ♡
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