第116章 温慈恵和(おんじけいか)
もちろん、ダリと清香ちゃん、芝三郎でホテルステイなども考えたが、人間社会の作法をよく知らない妖怪変化たちだけで宿泊させるなど、心配でたまらない。
こうなりゃヤケだと、『実は自分はホストファミリーの家に書生みたいに住まわせてもらっている』というストーリーを作ったらどうか、とも考えた。清香ちゃんたちはそのホストの子ども、という設定にすればいいのでは?と考えたのだ(ちなみにこの案だと、ダリは飼い犬ならぬ飼い狐となってもらうしかない)。これはとてもいいアイデアではないかと思ったのだ。
もちろん、この案においてはホストファミリー役は、それなりの年のカップルでないと成立しない。なので、なんだかこの間のパーティで良い感じだった宝生前と土門に依頼したのだが・・・
『どうか!どうか・・・お願いします!』
陰陽寮の小会議室で私は机に額を擦り付けんばかりに平伏する。
『え!?・・・ど、どういう意味ですか?』
限りなく引き気味で、顔を引き攣らせる宝生前さん。
『そ・・・それはナイスアイデアなのです!!』
目を輝かせて前のめりになる土門さん。
目の前の二人は全く正反対のリアクションをした。
『家族』としてひとつ屋根の下に住む、ということに何故か土門は乗り気だったが、宝生前が目を白黒させてしまっていた。嫌っていうわけではなさそうなのだが、額にじっとり冷や汗まで滲ませていたので、やっぱり無理か・・・となる。