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天狐あやかし秘譚

第114章 純情可憐(じゅんじょうかれん)


「いろと言ったり、見るなと言ったり・・・
 今宵の姫様は、随分、わがままでいらっしゃる」

ちょっとおどけて言うと、くるりと彼は向こうを向いてくれた。
首飾り、それから呪術の媒介となる木の腕輪などのアクセサリを外し、洗面台の上にあった陶器の皿に置いた。しゅるりと貫頭衣を脱ぎ、ブラを外す。

ちょっとだけ、鏡越しに向こうを向いている宝生前を見て、ゆっくりとショーツを下ろしていった。せめても、ショーツとブラが丸見えにならないように、籐のカゴの下に入れ、上から服を畳んで置く。

真っ白な肌触りの良いタオルを体の前面にたくし持って、彼に声をかけた。

「お・・・お待たせなのです・・・」

お風呂のお湯はお湯はりが終わると自動的に止まる仕組みになっているようで、私達がパウダールームに入る頃にはすでに止まっていた。

一瞬、しんと空気が張り詰めた・・・ように感じた。

「え・・・と・・・宝生前さんも・・・一緒に・・・?」
「姫のご要望とあれば」

言うと、しゅるりとガウンの紐を解き、脱ぎ捨てる。戦闘を主とする祓衆ではないものの、やはり前線に出ることがある結界師だからだろうか、筋肉質と言うほどではないけれども、40を超えているとは思えないほど引き締まった身体をしていた。

その身体に惚れ惚れして、じっと見ていると

「私が脱ぐところは見るんですか?」

などとまた意地悪に言われてしまったので、慌てて目をそらす。しかし、やはり、すっと黒のブリーフを下ろすところを横目で見てしまってはいた。

・・・っ!

そこに見えた男の人のそれが、自分の想像しているものよりも大きくて、私はびっくりしてしまう。私もこの年までに、それは何人かの男性との(あと、女性も・・・)経験はあった。まだ縮んだ状態ではあっても、そのうちの誰よりも、宝生前のそれは立派であることが見て取れた。

宝生前さん・・・見かけによらずっ!

私は期せずして喉がゴクリと鳴るのを感じる。

「どうしました・・・入りませんか?」

宝生前に促されて、私はガラスの扉を開く。意を決して、バスタオルをとって、シャワーをする。そして、ちょっとだけ考えて・・・

「あの・・・お化粧落とすんで・・・その・・・笑わないでください・・・なのです・・・」
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