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天狐あやかし秘譚

第113章 実事求是 (じつじきゅうぜ)


☆☆☆
江藤との面会のあと、私と宝生前は京王プラザホテルに一室部屋を借りることとなった。

目的は、江藤の動向監視のためである。そもそも、そのために面会時に夜魂蝶を勧請し、彼に一頭つけたわけだ。

『だったら、別に部屋を借りなくてもよろしいのでは?
 そもそも土門様の夜魂蝶は、東京都内くらいなら、その操作圏内でしょうから、なんなら寮に戻っても・・・』

あまりにも色気のない宝生前のコメントに『ノン!』と私は指を振る。

『彼にかかっているのが「直日の祝(はふり)」だというのはあくまで仮説のひとつ、なのです。もしかしたら本当に彼が政敵に狙われているなんてことがあるかもしれないのです!もし、彼が襲われたりしたときは、近くにいないと助けてあげられないのです!』

そう言って説得した。まあ、私の占いでは、100%他の脅威はない、と出てはいるのだが、それを正直に言わないのも、大人の女の駆け引きというものである。
これくらいの嘘は許してほしいのである。

そういうわけで、部屋を取るとなったのだが、ここでも一悶着。
二人ということで、ホテルマンからは最初、ツインを提案された所、私が『ダブル!』と主張したにも関わらず、宝生前は静かに『ツインで』と・・・。

うーん・・・なかなか思うようにいかない・・・
でも、まあ、いいのです。

一応、菊理媛がちゃんとついてきているかをこっそりと確認する。果たして、そこにはちゃんと幼女神がいた。彼女は初めて見るのか、ホテルのロビーにある彫像をしげしげと眺めているところだった。

まだまだ、運は私に味方している、というわけだ。
大人の女は、焦らないのです!

とったお部屋は何の変哲もないツインルームで、可もなく不可もなくといったところだった。宝生前さんとの初めてのお泊りなのだから、もう少し洒落たリゾートホテルかなんかが良かったな・・・などとも思ったが、建前上(いや、本来的にも!?)一応仕事なので、我慢することにした。

それに、好きな男性と一緒にホテルの部屋に入る、というだけで私の胸はドキドキである。
なんだか落ち着かなくて、部屋に備え付けの冊子を意味もなくめくってみたりする。すると、そこにはいろいろとルームサービスメニューが載っていて、ついついテンションが上ってしまう。
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